PROJECT.H VOL.2 : OSAMU KATOVol.2 嘉藤 修

飽くなき向上心の塊の嘉藤。
「技術の見える化」プロジェクトHにおけるF1カーのスケールモデル製作では、
入社以来の夢であった一台の自動車をオール浅野で完成させるという想いにまた一歩近づいた。
カーボン成形の担当としてプロジェクトに取り組んだ嘉藤の美しい表面加工を追い求める執念をご紹介しよう。

感謝の念とやり残した想い
完成度を上げる途に終わりはない
技術開発部には大型のプレス機がないため、プレス機を別の部署から借りての作業となったが、使用できる時期は年末だった。年末2週間に亘り成形を繰り返した。冬休みを迎えたのは大晦日。結局、形になったのは年明けであった。難易度の高さに最初は高い頂を見上げていたが、形ができると後は山を下るように次の作業が進行した。
日常の仕事で使う機械を快く貸し出してくれた別の部署、そして、プロジェクトに手を差し伸べてくれた同僚には心から感謝していると述べた嘉藤。プロジェクトHに関われなかった他の社員にもこの喜びを味わってもらいたいと言う。他の社員がプロジェクトに取り組む際は、今回の経験を多いに活かして逆に手助け出来る筈だ。
プロジェクトに夢中で取り組んだ結果、年末年始は、家族サービスはおろか実家にも帰省出来なかった嘉藤。「家族はいつものことと思っていますよ。」と語るその眼差しは家族を想うやさしさを湛えていた。ASANOマイスターの矜持のインタビューで伺った日本一周の夢も、会社から期待されている今、当分叶いそうにない。
ここで改めて大好きなモノづくりの話に戻る。「実は・・・もし叶えば表面をもう一度やり直したいんです。」と語る嘉藤の目は真剣味を増している。表面の綺麗さは型の綺麗さで決まるという。そこで型を研磨する訳だが、型と製品隙間が一定でないため、研磨した通りに表面が仕上がる訳ではない。変形することを考慮して再度トライしたいという。更なる改善を追い求める姿勢が㈱浅野の技術革新を育む企業風土につながっている。
最後に「完成したら何をしたい?」という問いに「プロジェクトメンバーと完成車で記念写真を撮りたい。」と答えた嘉藤の目は優しい眼差しに戻っていた。