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PROJECT.H VOL.2 : OSAMU KATOVol.2 嘉藤 修

飽くなき向上心の塊の嘉藤。
「技術の見える化」プロジェクトHにおけるF1カーのスケールモデル製作では、
入社以来の夢であった一台の自動車をオール浅野で完成させるという想いにまた一歩近づいた。
カーボン成形の担当としてプロジェクトに取り組んだ嘉藤の美しい表面加工を追い求める執念をご紹介しよう。

叱咤激励を追い風に
遠いドイツを夢見て
戸惑う嘉藤の背中を押したのは、F1カーのスケールモデル製作を提案した上司であった。「今やらないで、いつ挑戦するのだ!」の一言に奮い立った嘉藤。技術の国、ドイツで㈱浅野の技術力をアピールするという皆の夢を胸に、新たな闘志を心に沸き立たせた。
冷静に考えると、型の作りは新素材といえども今までの知恵と経験が活かせることに気づいた。加えて、物作りをしてきた中で面倒な出来事も数知れずあったが、全て乗り越えてきた。それまでの経験が新たなことに挑む嘉藤の自信へと昇華した。
CFRTPで成形するボディとシートのサイズに驚かされた。1500mm×1200mmの型は全てが深い絞りで、一体成型だ。それを短時間で仕上げなければならない。温度が冷めると硬くなる性質のCFRTPでは、加熱して柔らかくなっている短い時間の中で作業を進める必要があるのだ。作業は細かい手作業のため木綿の軍手を使用するが、軍手に熱が伝わるまでに成形を終え、手に熱が伝わる時点でCFRTPは既に硬くなっているという。
大型シートで深絞りのCFRTP成形は困難を極めた。最初の成形で、金型が壊れるというアクシデントに見舞われながらも、成形作業を繰り返していった。