PROJECT.H VOL.2 : OSAMU KATOVol.2 嘉藤 修
飽くなき向上心の塊の嘉藤。
「技術の見える化」プロジェクトHにおけるF1カーのスケールモデル製作では、
入社以来の夢であった一台の自動車をオール浅野で完成させるという想いにまた一歩近づいた。
カーボン成形の担当としてプロジェクトに取り組んだ嘉藤の美しい表面加工を追い求める執念をご紹介しよう。
新たな壁が現れる
敢えて高いハードルに挑む
技術開発部は、6人からなる小所帯の部門だ。嘉藤の他、品質保証の経験者といったキャリアが豊富な人材も集う少数精鋭の部署である。
技術開発部は金属をベースにしながら、新素材についても積極的に研究開発に取り組んでいる。自動車業界でトレンドのカーボンもその1つだ。嘉藤はカーボンについて技術開発部に異動してから学んだ。未知のカーボン素材に取り組む中、国のものづくり基盤技術支援事業であるサポイン*3に提案した案件が採択された。テーマは「熱可塑性*4にCFRPによる車載用大型複雑形状製品の成形技術の開発」だ。
サポイン案件を通してカーボンの基礎知識を積み上げていく中、「技術の見える化」プロジェクトHに参加することになった嘉藤。知識は仕事を通して身につけていたものの、経験をまだまだ積み上げる必要があると感じていた。
プロジェクトミーティングで何を作るべきかの検討を重ねていた時のこと。カーボンとアルミの異材を組み合わせた自動車のドアを製作しようという話になった。ここで胸をなでおろした嘉藤。ある程度のサイズに収まるカーボン部品の成形であれば、今までのカーボン成形の経験でカバー出来るからだ。
検討を進める中で話は変わり、F1カーのスケールモデルを製作することになった。嘉藤の上司からの提案だった。F1カーのサイズは経験の範疇を超えており、技術のハードルという名の高い絶壁が眼前にそそり立った。これまで100%の成功を重ねてきたものの、今回ばかりは正直めまいを覚えた。それに加え、製造部にいた時はメンバーが多かったが、技術開発部はメンバーが少ない。途方にくれる嘉藤であった。